睡眠不足がもたらす危険

忙しいとどうしても睡眠時間を削らざるをえない人も多いと思います。しかし、睡眠不足はさまざまな問題を引き起こします。

≪眠らないと頭が働かなくなる≫

まず問題なのが、頭が働きにくくなってしまうことです。人間は寝ている間に日中の記憶を整理しています。なので、睡眠時間が少ないと記憶の整理が追いつかず、物覚えが悪くなります。

アメリカで高校生120人を対象に行われた調査によると、睡眠時間が長く(1日7時間ほど)、就寝時間も早い(22時半ごろ)学生ほど成績が良いということがわかりました。睡眠時間を削って勉強するのは逆に効率を悪くしてしまうようです。学生だけでなく、睡眠不足は仕事のパフォーマンスを下げることにもつながります。寝る間を惜しんで勉強時間や作業時間を増やすよりも、眠ったほうが効果的な場合もあるので、うまくいかないときは思い切って寝てみることをおすすめします。

≪睡眠時間が少ないと太りやすくなる≫

眠るだけで人は300calも消費できると言われています。しかし、よく眠れていないと消費カロリーは90calまで減ってしまいます。また、睡眠不足になるとレプチンが減って、グレリンが増えます。レプチンは食欲を抑えるホルモンで、グレリンは食欲を増進させるホルモンなので、睡眠をきちんと取れていない日はいつもより食欲が増すことになります。睡眠不足になると、太りやすくなる条件が重なってしまうのです。

睡眠時間が6時間を切ると肥満の割合が増えるというデータもあります。ただし10時間を越えても逆に太りやすくなる傾向があるので、6時間~8時間を目安に眠るのが最適なようです。

≪睡眠不足で病気を引き起こすおそれも≫

また、深刻な病気を引き起こすおそれもあります。まず、発がんのリスクが高まります。世界保健機関の調査によると、日勤の職場で働く男性に比べて夜勤で働く男性は前立腺がんにかかるリスクが3.5倍も高いことがわかりました。交代制勤務で不規則な生活を送っていると体内時計が乱れ、がんの発生を抑えるメラトニンというホルモンの分泌量が低下してしまうことが原因だと考えられています。

また、心臓病になるリスクも上がります。不眠でストレスが溜まると、心臓発作を引き起こすようなホルモンが分泌されるからです。睡眠時間が6時間以下の人は、十分に眠っている人に比べて48%心臓病の罹患率が高くなるというデータもあります。

さらに、脳卒中になる可能性も高まります。睡眠時間が5時間の人と6時間の人を比べると、5時間の人のほうが高血圧になる可能性が37%も高いという調査結果が出ていますが、高血圧は脳卒中のリスクを高めるのです。不眠症気味の人は、夜間に脳卒中が起こる確率が睡眠をきちんと取っている人に比べ、6倍も高くなることがわかっています。

このように睡眠をきちんととらないと、さまざまな面で悪い影響が出てきます。忙しい場合は難しいかもしれませんが、時間があるときはゆっくり寝てみることをおすすめします。毎日の睡眠時間を増やすことが理想ですが、難しい場合は昼寝をしても効果が上がります。昼間に眠るときは、20分位の短時間に抑えると体内時計が狂わないので安心です。